『やる気とか、そういう問題じゃない』元巨人・池田駿が語る公認会計士試験に合格した極意(後編)

スポンサーリンク

前編に引き続き、公認会計士試験合格者の池田駿さんにお話を伺った。プロ野球選手としての生活を終えた彼が公認会計士試験に合格するまでの道のりを振り返りつつ、そこから得られる学びを紹介していく。(前編はこちら

巨人時代の池田さん(写真はすべて本人提供)

公認会計士を目指したきっかけ

プロ野球の世界を後にしたものは、その世界とは違う新たな世界で生きていかなければならない。当然様々な苦労があるのだが、あえて一つ言うならば『時間』がないのだ。引退後の池ちゃんは、まさにその『時間』と戦った結果として公認会計士を目指すことになった。

『プロ野球選手の確定申告のお手伝いをしたかったんですよね。でも税理士になるためにかけられる時間もなくて』

引退後の池ちゃんは明確な目標を持っていた。しかし、自身や家族の生活を考えるとそれは現実的ではなかった。しかし、だからといって『それなら諦めよう』とならないのが池田駿なのである。どうしたものかと考え、何か方法はないかと調べ、一つの答えに辿り着く。それがまずは公認会計士になるということであった。

『税理士になるための受験資格を満たすために使える時間はなかったんですけど、公認会計士試験合格者は税理士試験が免除になるってことを知りました。その上で必要な実務を積めば税理士登録もできるので、「じゃあ先に公認会計士目指せばいいんじゃないか?」って結論になりました。』

簡単そうに言ってのける池ちゃんではあったが、そもそも公認会計士試験に合格することはとても難しいことである。彼は一見届きそうにない目標を掴み取るために様々なアプローチを試みた。考え、調べ、行動する。諦めたとつぶやく前にやれることを探す彼の姿勢からは学ぶことも多いだろう。

合格のために究極の環境づくり

ではいざ公認会計士を目指すことになったはいいが、果たしてやり切れるのか?池ちゃんはわかっていた。自分自身がそこまで強くないということを。だからあえて退路をたった。プロ野球界を去る時、所属していたチームにも選手会にも『公認会計士をめざす』とあえて宣言した。

『おかしなことを言うなと反対する意見もありましたよ。でももう宣言しちゃってたんで。やる気とかそういう問題じゃなくて、やるしかなかったですよね。』

しかし勉強は野球と違い、良くも悪くも自分のペースでできるのだ。池ちゃんは明訓高校を選んだ時のことを思い出す。自力では限界がある。池ちゃんは自力の限界を知っている。だったら、さらに甘えられない環境を作ればいいのだ。池ちゃんはそこにかける思いを詳しく教えてくれた。

『勉強に関しては、逃げるという選択肢がある分野球よりもきつかったです。野球も厳密に言えば逃げることができるけど、まあ逃げられないじゃないですか。やめたらほぼ取り返しつかないし。勉強で逃げずに済んだのは、やっぱり周りに宣言とか公言とかしてたからです。あとは妻の実家に居候させてもらうことにしました。アラサーの無職が妻の実家に居候ってやばいじゃないですか(笑)。迷惑かけてるわけだし。だから嫌でも勉強する環境を作って、1日でも早く居候を終えられるようにしました。妻の実家の居心地が悪いとかじゃないですからね!』

究極の覚悟をもって臨んだ公認会計士試験合格への道のりは、2年後に大々的に取り上げられるような結果となった。

とにかくやってみよう

最後に『プロ野球選手の時と試験に合格した今を比べてどう感じるか』というような主旨の質問を投げかけた。

『精神的には今の方がマシですね、時間は全然ないですけど。』

以前プロ野球選手として一緒に自主トレをさせてもらって以来の会話だったが、終始明るく気さくに話を聞かせてくれた。自分をよく知り、目標をしっかり見定め、環境を作り、己を高めていく。たくさんの学びをもらえたように思う。今後の彼の活躍に期待したい。

スポンサーリンク

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

シェアしていただくとありがたいです!
  • URLをコピーしました!

ライター紹介

三重県伊勢市出身。文藝春秋で2年ほどコラムを書いた経験から、文字を通じて伝えることの楽しさを学ぶ。同誌で2022年度コラム部門新人王受賞。自身をはじめ、様々な人の人生から得た学びを伝えていく。