【プロ野球】プロ野球選手の収入について、元プロ野球選手が解説

スポンサーリンク

 いよいよ2024年プロ野球の開幕が訪れ、この日を待ち侘びた野球ファンも多い事だろう。毎年のことではあるが、シーズンを通して活躍し名をあげていく選手もいれば、思うように活躍できずこの世界を去る選手もいる。完全に結果主義で弱肉強食の世界であり、活躍すればするほどその選手の収入は増えていくことになる。しかし、その支払いの仕組みについては意外と知られておらず、筆者もよく質問を受ける。契約金や年俸は一般的に収入の主たるものとして知られているが、その支払いの仕組みやこれら以外の収入については知らない方も多いことだろう。今回は、そういった契約金や年俸の仕組みについて、またその他の収入について解説したコラムである。なお今回は私が所属したベイスターズでの経験をもとに書いているので、チームによって多少の差があることを断っておく。

目次

契約金

まずプロ野球選手になって一番最初に貰えるお金がこの契約金である。契約金とは、文字通りチームと契約した際にもらえるお金であり、基本的には一度だけ貰えるものである。退職金のようなものとも言われており、実際そのような捉え方で間違いない。この契約金の金額はドラフトの順位が高ければ高いほど高くなりる。ドラフト指名時の所属が高校、大学、社会人、独立リーグといった違いによっても金額は変動する。振り込まれる時期はドラフト指名から約三ヶ月後の一月末である。私は独立リーグ出身で当時は貯金が1万円程しかなく、契約金が振り込まれた時の口座残高を見た衝撃は今でもよく覚えている。

年俸

次に年俸の話である。この年俸は契約金と違い毎年もらえるお金であり、前年の活躍が反映されるものである。そして契約金と大きく違う点が、年俸は一括で振り込まれるものではなく毎月分割で振り込まれるのである。ちなみに、戦力外通告を受けた年の場合、その年の12月が最後の振込となる。
また、契約金や年俸に付随して『出来高払い』というものがある。これは少し複雑で、要はチームが事前に定めたシーズン成績(個人成績)を達成した場合に支払われるものである。

年俸の概念で少々難しいことがもう一つあって、それは『一軍選手の最低年俸』というものだ。どういうものかというと、一年間全ての日程で一軍に帯同した場合、その選手のその年の最低年俸は1,500万円というものである。これはそもそもの年俸が1,500万円を超えている選手であれば問題ないのだが、そうでない選手の場合どうなるのか?例えば、年俸1,200万円のA選手が2020年シーズンのうち半分の日程を一軍で過ごしたとする。この場合、一日でも一軍で過ごしたから元々の2020年シーズン年俸1,200万円から一軍選手の最低年俸の1,500万円に置き換えられるのかというと、そうではない。これはあくまで一年間全ての日程で一軍に帯同した場合の話であり、A選手は半分の日程を過ごしたのみである。そうなると、A選手の2020年シーズンの年俸は1,350万円となる。どういう計算をするのかというと、差額の日割りである。A選手の場合、年俸1,200万円、この金額を一軍選手の最低年俸は1,500万円から引く。この場合、差額は1,500万円−1,200万円=300万円となる。シーズン日程が300日だとすると、差額が300万円なのでこれを日割りすると、1日あたり1万円ということになる。A選手が帯同した150日分、つまり150万円が本来の2020年年俸1200万円に加算されるという考え方である。そしてこの差額は11月末に振り込まれるのだ。

グッズ収入

ここからはあまり知られていないプロ野球選手の収入についてである。グッズ収入は、名前の通りグッズが売れることにより得られる収入である。例えば、寺田光輝のレプリカユニフォームが売れた場合、その売り上げの数パーセントが寺田光輝の収入となるということだ。これはタオルやキーホルダーなども同様であり、選手によってはかなり大きな額になる。グッズ収入が振り込まれるのは11月末である。

賞金

続いて賞金だ。主に勝利した試合で活躍した選手に対し、賞金が与えられるというシンプルなものだ。金額や賞名は様々であるが、それなりの額である事は間違いない。これは一軍二軍ともにある制度ではあるが、金額や細かい部分では少々差がある。

その他

その他には、野球教室やメディア出演、イベント出演など、多岐にわたって収入が得られる場合がある。いずれにせよ、人気選手であればあるほどその機会も金額も多くなっていくのだ。そのためには、まず本業の野球に集中して、納得のいくシーズンを過ごしてほしいと願うばかりである。

スポンサーリンク

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

シェアしていただくとありがたいです!
  • URLをコピーしました!

ライター紹介

三重県伊勢市出身。文藝春秋で2年ほどコラムを書いた経験から、文字を通じて伝えることの楽しさを学ぶ。同誌で2022年度コラム部門新人王受賞。自身をはじめ、様々な人の人生から得た学びを伝えていく。

目次