注射器と文化祭大乱闘

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みなさんこんばんは。季節の変わり目は体調を崩しやすいから気をつけろと言いますが、あれってどういう理屈なんですかね?医学部に通い始めて何年か経ちましたが、いまだによくわかりません。

先週も充実しておりました。というのも、今までの取材や自分の経験、知人との雑談を通して『環境が人をつくっていく』ということをよく実感できた1週間だったからです。とりあえず学校での出来事から書いていきますね。

まず私的ビッグイベントは『採血実習』です。実際に注射器を手に取り、針をセットし、最後に衛生的に破棄する、ということを練習したのですが、なんとも言えない汗をかきました。ああ、こうやってみんな医者になっていくんだなあとか、どこか他人事の景色を見ていました。無事医者になれたあかつきにはこの日を初診として振り返りたいものです。そんなことを思う一方で、環境の大切さをインタビューで話してくれた方々の話を思い出しました。この実習は、もちろん極限を超えていくみたいなものではありませんが、少しずつ環境に連れて行ってもらいながらできる限りのことをやらねばならんなと、至極当然のことをしみじみとそれっぽく考え込んでおりました。

もう一つ面白かったことは、まさに環境が自分を変えてくれたという知人の経験談を聞けたことです。

その方は現在高校教員でいまはタフな方なのですが、学生時代は大層精神的に脆かったそうです。受験時、周りの友人が続々と進路を決めていく中、その方はなかなか進路が決まらず一人で泣いていたそうです。失礼ではありますが、今のその方からは想像がつかなさすぎて思わず本人を前にして笑ってしましました(笑)。なんせ椎名桔平さんによく似た、筋肉質のイケメンさんなので。

そこから紆余曲折を経て高校教員になったのですが、赴任した高校はいわゆるヤンキー校でした。もう10年以上前の話ですが、それはそれは気合の入った生徒がたくさんいたそうです。10人くらいの生徒に囲まれたり、胸ぐらを掴まれたりと刺激的な毎日を過ごしていたそうです。

そんな生活の中で、『文化祭』という一大イベントを迎えます。事件はここで起こります。高校を退学になった生徒が仲間と共に、文化祭を潰しにきたそうです。出し物の一つであったお化け屋敷を破壊し始めたところで、流石に学校側も黙ってられません。警察に応援を呼び、戦闘要員の先生たちは鎮圧にあたり、元生徒と先生と警察による大乱闘が勃発します。先生は手を出せないので、壁に生徒を押し付けたり、羽交い締めにして『落ち着け!』とたしなめたりと、当時の様子をさらっと教えてくれました。

『それまであまり強い方ではなかったけど、あれで結構かわりましたね』と爽やかな笑顔で本人は語りますが、もし当事者だったと想像すると勘弁してほしいですよね。ちなみに奥様にもそう言われるとのことなので、この高校に赴任したことが自他共に認める大きな転機となったみたいです。

もちろん取材ではなく雑談でのことなのであまり深くは聞いていませんが、やはり環境による強制力っておおきいんだなあと、そんなことを呑気に考えていました。

強制力がありすぎてもよくありませんが、まあ多少はないとよくないよなと、自問自答した1週間でした。あとは健康診断で体重が宇宙の風に乗っていたので、ダイエットを再開しようと思います(笑)では次回の記事でお会いしましょう。

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ライター紹介

三重県伊勢市出身。文藝春秋で2年ほどコラムを書いた経験から、文字を通じて伝えることの楽しさを学ぶ。同誌で2022年度コラム部門新人王受賞。自身をはじめ、様々な人の人生から得た学びを伝えていく。

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