『藤田みさなら、きっとこう行動するだろうなって』SNSインフルエンサー藤田みさが乗り越える、過酷な環境と弱かった自分

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「“藤田みさ”のおかげで生きていけるし、“藤田みさ”を愛しています!」

弱い自分を愛せとは言わないが、強く生きるための手段は思いもよらないものがある。どれだけしんどい状況だったとしても、何かできることはある。それを教えてくれたのは、今回お話を伺ったソーシャルメディアインフルエンサーの藤田みささん。現在X(旧Twitter)におけるフォロワー数は6万人を超えており、その投稿からは非常に明るく活発な人間性を感じさせてくれる。しかし、画面の向こう側にいた彼女は決してそうではなく、むしろ真逆だといっても差し支えないほどの人物だった。彼女どのようにしてここまできたのか、キラキラ輝いて見えるSNSインフルエンサーは、いかにして出来上がったのか。ほんの少しではあるがその過程を紹介させていただきたいと思う。

藤田みささん:写真は全て本人提供

SNSで見せる姿とは裏腹の、本当の藤田みさ

「“藤田みさ”は強いんですけど、もともと本当の自分は弱いですよ。人見知りだし、ご飯を食べに行って店員さんに話しかけるのもかなり苦手で…」

インタビューの序盤でご自身がはっきり言い切るほど、彼女は元々強い人間ではなかった。それは決して精神面だけの話ではなく、むしろ身体的なことが影響していたと言えるだろう。生後3ヶ月で全身麻酔が必要な手術を行い、これまで計5回の手術を受けてきた。現在病気はほぼ完治しているが、学生時代には入退院を何度も繰り返した。

「病気のことでというよりは、入退院を繰り返したりしたことや病気の影響で学校 に馴染めなかったり、人間関係の面でうまくいかなかったことの方がキツかったですね。普通の青春を送れないことに病むというか。」

思春期の女の子にとってはあまりにも過酷な環境だった。訪れる試練はこれだけにとどまらず、両親の離婚や、あろうことか病気のことを悪く言われることもあった。ひどいことを言われては凹み、その姿を見た母親が泣く。そのような状況で、一時期は自殺を考えるほど病んでしまった。幸いだったのは、彼女はその選択を取ることはなく、現在の藤田さん、ひいては“藤田みさ”の誕生につながっていくのであったが、そのきっかけの一つとして利用されたのがSNSであった。
藤田さんがSNSを始めたきっかけは、ネットゲームのためにアカウントを作ったことだった。現実世界ではないもう一つの世界が、彼女にとってはある種の救いだったのかもしれない。そしてその世界は、今の彼女を、現実世界での彼女を大きく彩ることになっていく。

「学生時代、ネットゲーム用のアカウントを作ったことがきっかけでSNSを始めました。ゲームの投稿以外にも自撮りとかもあげてたんですけど、全然バズることもなくて。でも、続けていたらいつの間にかバズってて…って感じです。もちろんバズろうとかそういうつもりはなかったです。」

後の話にもつながるのだが、彼女はしんどい状況ながらも自分を守るための行動を取り続けた。ただこれは、あくまで私の主観であるというのは了承願いたい。一つは、現実世界とは違う別の世界を持つということ。現在の“藤田みさ”の誕生にも大きく関わるその選択を、当時から行なっていたのだ。余談だが、1つのことがダメになると全てのことがダメになってしまうという生き方は、ある種の依存であり私はあまりお勧めしない。むしろ、それで痛い目を見ている人間を何人も見てきた。今回の彼女の話は、まさにそういった生き方をして、苦しい思いをしている人に届いて欲しい。

彼女が自分を守るために取ったもう一つの行動は、勇気を持って行動するということである。先述の、別の世界を持つということもそうだが、その世界で自分自身を発信し続けたことが自分を守ることにつながった。当時の彼女はかなり追い詰められた状況にいたはずだが、もしそのままそこに留まり続けたとしたら、現在の彼女はどうなっていただろうか。当時の彼女は、救われたのだろうか。答えはないのかもしれないが、勇気を持って動いた結果が今の彼女なのだとしたら、それは自分自身を守ったと言えるだろう。

“藤田みさ”が生まれる

SNSでの活動は、年齢を重ねるごとにその形を変えていった。趣味の世界にとどまっていたその世界は、現実の世界と重なり始め、ゲームの世界とは関係のない人間がアカウントをフォローしてくれるようになった。ゲーム以外の趣味の投稿をすることも増え始め、彼女の世界は大きく広がり始めた。しかしその矢先、ある投稿でいわゆる「炎上」を起こしてしまった。もちろんこれも狙ったわけではないのだが、さらに悪いことに某有名Youtuberに取り沙汰されてしまう。そこには容赦のない誹謗中傷が押し寄せた。

「もちろん狙って炎上したわけではないので、晒されて凹みましたし辛かったです。病みましたね。」

筆舌に尽くしがたい苦しみがまたしても彼女を襲う。しかし、そこで終わってしまわないのが彼女の底力とでも言えようか。終わってしまうどころか、ここから彼女は本当の強さを身につけていく。そしてそれは“藤田みさ”が生まれることを意味するのである。

「私自身がアンチに直接叩かれるから辛いのかなって。だったら、アンチ対策の心構えとして“藤田みさ”を作れば良いのかなと考えて。私というよりは、“藤田みさ”に全部やらせるみたいな。何かあったとしても、それは私じゃなくて“藤田みさ”がやったことだし、みたいな。もちろんそれも私なんですけど、“藤田みさ”が叩かれる分には、自分じゃないし、すべてまかせておけばいいのかなって。」

藤田みさ。自分を守るために作り上げた理想の女の子。

「“藤田みさ”なら、きっとこう行動するだろうなって。」

それ以降、アンチに叩かれようが、しんどい状況が訪れようが、本当の彼女自身も強くあれるようになった。

「今は本当の自分もだいぶ強くなりました。“藤田みさ”にファンや味方がいてくれるので。暇な時に本当にたまにふと弱い自分が出そうにもなるけど、それもほとんどもうなくなりました。今はおかげさまで忙しいですし、そういう時はそれどころじゃないですしね。今はもう“藤田みさ”が本当の自分になりつつあります。」

そうはいうものの、決して弱い彼女が完全にいなくなったわけではない。大勢の人前でのトークイベントに出演することが決まった際、本番一週間前から眠れず、何度も吐きそうになりながら過ごした。しかし、いざ本番の時を迎えると“藤田みさ”が一瞬で出てきてくれるのだ。ステージでは信じられないくらいペラペラとトークを展開し、笑いで会場を沸かすほどだった。イベント終了後、ステージを振り返っても、自分自身がやり切ったという感じではない。あくまで“藤田みさ”がやったことだから、といった感じである。

「本当に私がここで話したの?笑いとってたって?って感じです。もう一回やれって言われても絶対無理ですね。できる気がしないです。」

唯一無二の最強の味方、“藤田みさ”とともに歩みを進める彼女。インタビューも終盤に差し掛かった頃、彼女は今の仕事への思いと、ささやかな夢を話してくれた。

アンチだろうがファンだろうが、全ての人を大切に

彼女は今、ご存知の通りSNSを中心に自分を知ってもらうことに力を入れている。これは、今の仕事のための集客というのが主な理由である。そのために、なんとなくではなく、しっかりと戦略を立ててSNSを運用していることも教えてくれた。しかし、やはり切っても切り離せないのが「アンチ」の存在である。その話題に及ぶと、彼女はある種人間らしい感情を吐露してくれた。

「今は応援してくれる方のおかげでほとんど気にならなくなりました。ただアンチ自体はクソ食らえって感じですよ!よくもまあそんなに人をイラつかせる文を考えられるなあって。ただ、もちろんそれでおしまいじゃなくて、アンチだって人間だし、話せば案外分かり合えるかなって思ってて。それでうまいこと笑いのネタにでもなれば、アンチだって承認欲求みたいなものが満たされて、向こうは私のファンになってくれて、お互いにとっていいかなかなって感じです。」

また、アンチが湧くことがある指標にもなるという。

「もちろんアンチを沸かせようと思って投稿していませんが、バズる時は必ずアンチが湧きますね。逆にバズらない時はアンチがわかないです。アンチはバズったりフォロワーが増える指標ですね。」

アンチが湧くということは、既存のファンやフォロワー以外の人にも認知されるということであり、そのうちの何人かが新たにファンになってくれたら、それは集客にもつながる。そして、その一人一人を大切にしたいという話を聞かせてくれた。

「大きい店を持ちたいとか、キラキラしたところに住みたいとか、そういったことは一切ないんです。将来は浜松でスナックなんかを細々とやっていけたらなと考えています。お客さんと一緒に楽しみたいってのが一番ですね。」

お客さんと一緒に楽しみたい。この一言に、彼女の想いが集約されているといっても過言ではない。というのも、なんと彼女は県外で行われるイベントの仕事は全て断っているのだという。その理由も、お客さんを思ってのことだった。

「今は浜松で自分のお店(麻雀Peaceさん)をまかせていただいているので、イベント先で会えると思われるのが嫌で。今のお店のお客さんにも悪いですし、何より折角来てくれたなら満足して帰って欲しいと思っているので。イベントだとそもそも一人一人としっかりお話できないのも申し訳ないと思っちゃうので。」

ファンの方に一方的に応援を頼むわけではない。あくまで一緒に楽しむのだ。誰かに頼り切らず、あくまで対等に。

「誰かに頼りきって生きていると、その相手に対して下手(したて)に出続けなくちゃいけないし、捨てられたらどうしようって不安もずっとある。だから、自分でなんとかしていく方がいいかなって。捨てられるとかそういう不安もなくなるし、何より楽しいですし、人と対等に付き合えますしね。」

自分の幸せの中に他人を巻き込んでいけたなら、それだけで素敵な世界が広がっていく。“藤田みさ”と彼女なら、これからもその光の輪を大きくし続けてくれるだろう。

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ライター紹介

三重県伊勢市出身。文藝春秋で2年ほどコラムを書いた経験から、文字を通じて伝えることの楽しさを学ぶ。同誌で2022年度コラム部門新人王受賞。自身をはじめ、様々な人の人生から得た学びを伝えていく。